お知らせ
私にも、その先に何か残せれば。

“あっ!おばあちゃんだ!近くに座りたい”
私は、思わず心の中でつぶやいてしまいました。

「The lion dance しあわせ獅子あわせ」(ショートバージョン)のグランプリ受賞祝勝会の会場で、空いている席を探し、店内を見渡していた時の事でした。

何度か撮影にお邪魔するにつれ、いろんな出演者の方にお会いさせていただきましたが、おばあちゃん役の元木さんとは、なかなか会うことができませんでした。

1度だけ、撮影現場でお見かけしたことはあるのですが、挨拶することさえできず、もう会えないのかな・・・と思っていた矢先の事だったので、とってもうれしい気持ちになりました。

できることなら、少しでもお話を伺いたいと思っていたので、元木さんと同じテーブルに座らせていただきました。

主人公ユウヤのおばあちゃんである、多佳子役の「元木佐代子」さんは、エルダーキャッツという、シニア劇団に所属されている、アマチュアの舞台役者さんです。
喜多 多佳子
少し紹介させていただくと、エルダーキャッツとは、還暦から演劇をはじめた団長・小西金太郎さん(本編にも町内会長役で出演)率いる、60歳以上の方を対象とした高齢者劇団です。香川県内だけではなく、県外に招聘されるほどの人気を誇り、団長以外、全員が劇団未経験というのにも驚きます。

元木さんがそこに足を踏み入れたのは、今から約10年前のことでした。

「演劇をしている時だけは、忘れられたのよ」

私たちは、元木さんがどちらの方面で活躍されている方なのか、どのような方なのか、まったく知りませんでした。
ただ、1つ取材の合間に耳にしていたのは、体調があまりよくないという事でした。

元木さんは、22年前にある病気を患い、今も、その病と闘っておられます。

発症してからというもの、お医者様からは、寿命の話をはじめ、よくない話ばかりだし、入退院を繰り返す日々で、気持ちもふさぎこんでいました。

そんな生活が数年続いた頃、韓流ブームが到来。そこで描かれる美しい映像、それに夢中になっている人たちを見ながら、元木さんはこう思ったそうです。

「私も、何か表現できれば。。。」

そうやって元木さんの演劇人生はスタートしました。

演劇の世界でも10年が経ち、多方面で活躍している元木さんに映画出演の話が舞い込んだ時、治療と仕事を優先させなくてはいけないという理由でお断りしたそうです。

しかし、最終的に、元木さんは、基本日曜日だけの撮影ならと、出演を決めたのです。
ご自身の身体の事、生活の事、みなさんに迷惑をかけては。。。と、いろんなことを思い悩まれたのではないかなと思います。

祝勝会がはじまり、キャストの皆さんが、1人ずつ挨拶をされたとき元木さんが、おっしゃったある言葉が印象に残っています。

「私にも、何か残せたらという想いで参加させていただきました」

この言葉の裏に、こんな事実が、こんな想いがあったのだなあと、いろいろな事が繋がり、おめでたい席なのに、思わず涙がこぼれてしまいました。

今回の映画での元木さんの役柄は、公式サイトにこのように紹介されています。
「誰にでも愛想が良く、人に好かれる性格。無口な松次郎を支え、商売や家事をこなしている」

実際、元木さんにお会いして、本当に役柄にぴったりな方だなと感じました。
表面には見せない、ご苦労が多くあるのでしょうが、とっても明るく、チャレンジ精神に富んだとっても前向きな女性でした。

また、一言一言をとっても大切に口にされ、会話と会話の間にも、聞こえないメッセージを届けてくれる元木さんの笑顔に、お話できてよかった!と心から思いました。

元木さん、ご一緒させていただき、また貴重なお話をお聞かせいただき、本当にありがとうございました。

元木さんの、さらなるご活躍をお祈りいたしております。

まちぐるKAGAWA スタッフ